つくることとか思うこととか。Tonaliのブログ

大学で制作、企画を行うTonaliがつらつら語る、思考アーカイブ。

視覚をハックしただけではVRではない?視覚以外のVR要素の探り合い。

私自身、PSVRやRicho THETA Sを所持しているくらいVRが好きである。好きが故にTHETA SやUnityを使って色々コンテンツを作ろうと試行錯誤しているがこれがまた、2次元のもの(絵や動画)に比べて非常に難しい。そこで今回はVRの要素について軽く色々書く。

 

2016年はコンシューマ向けのVRが発売され、我々の生活にかなり浸透してきたVR。しかし、もともとの考え方は結構昔からあったが、VR部分の歴史の話はまた後日語るとしよう。またYouTubeでも360度動画を見れるようなって、スマホさえあれば気軽に体験できるようになっている。

 

しかし、VR=周りを見渡せるもの、という認識であるが半分当たって、半分違う。ここでVRの定義をwikiさんに聞いてみる。

バーチャルリアリティ - Wikipedia

簡単に要約すると、実際にはそこにはないが、人間の五感により、そこにあると認知する現象のことだ。

 

つまり、周りを見渡せたところで、これは自分じゃないと思ってしまった瞬間にVRとしては成り立たなくなるのだ。360度動画とVRは区別しなければならない。

 

私が最初に体験したのはKITCHENという、PSVRのタイトル。元々18禁のタイトルなので、見る場合は心して。

 

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これはものすごく没入感がある。本当に自分がその空間にいて、本当にあれがこうなっちゃう感覚ある(自主規制)。今の所これを超える没入体験をしたことがない。では、なぜ他と違ってより没入感を味わえたのか。私は視覚ではない、他の要素が重要と思う。

 

・音響

YouTubeにゴロゴロころがっている360度動画を一度でも見たことある人なら気づくかもしれないが、大体の360度動画は「ステレオ」音源なのである。つまり、音に立体感がない、音の距離感が掴めないのだ。正直これだけで没入感が削がれてしまう。しかし、手軽に距離感の掴める音源を録音できるシステムがある。それが、「バイノーラル録音」だ。

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(視聴の際はイヤホン、ヘッドホンをつけて)

 

バイノーラル録音とは、通常我々が音を聞くときは、耳の凹凸を利用して音の距離感を掴んでいるのだが、その特性を利用して、実際に耳の形をしたマイクを使用して音を録音する技術だ。これを最初に体験したのは小学校6年生ぐらいのころ、私の兄に紹介されて初めて知った。VRの衝撃と、この録音の衝撃は似ているものがある。色々バイノーラルマイクはあるが、下のリンクを見るとどういうマイクかよくわかるだろう。

3Dio_Japan | Free Space – Binaural Microphone

 

しかし、このバイノーラル録音はVRコンテンツでは使いづらいと私は思う。それは、バイノーラル録音は体験する人が「正面を向いていること」が前提であるからだ。どういうことかというと、耳元でハチがブーンと飛んでいるとした時に、振り払おうと耳を振っても、ハチは自分の耳からは絶対に離れないのだ。VR空間では、左耳になっている音源に対して、左に向いたら音源は正面にないといけないが、バイノーラル録音では、それが左のままになってしまうということだ。これではVR上まずいということをわかっていただけたであろうか。

 

そこでVR音響という考え方が出てくるのである。下のサイトが詳しく解説してある。

http://rittor-music.jp/sound/vr-acoustic

 

つまり、VR音響とは先ほどの例を使うと、耳元にハチが来た時にちゃんと自分でハチから逃げることができる音響なのだ。このVR音響をKITCHENでは見事に実装されてあった。敵がいない時に、何かを引きずっている音を追いかけることができ、それがとてもリアルで恐怖を煽るものになっている。しかし、このVR音響を手軽に実装できるものを私はまだ知らない。知っている方がいたらぜひ教えていただきたい。さらに、KITCHENの没入感を高めている要素がある。

 

・体勢

VRコンテンツで意外に注目されていないと感じるのが体勢である。例えば、自分は座ってプレイしているのに、VRでの自分は立っていて、かつ走っているとなると、これだけでかなり違和感だし、VR酔いの原因になる。KITCHENではちゃんとVR上でも座ってかつ、コントローラを持つ腕の動きも反映していたため没入感があった。このように、体勢をちょっと考えるだけでもVRコンテンツはより良いものになると考える。今まで面白いなと思ったのは

 

play.google.com

これは、可愛い女の子に耳かきをしてもらうというVRコンテンツであるが、何がすごいかというと、正座の姿勢から、寝る姿勢を実際にVR上で行うのだ。まースマホのコンテンツってこともあって、正座から寝るまでの動きは滑らかではないが、寝ながらVRするというだけでものすごい、エモ体験ができる。

 

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あとは

 

天空でVR(バーチャルリアリティ)体験

これはサンシャインシティの展望台、スカイサーカスという所に、空中ブランコと、大砲のVRがあるがこれがまたすごい。実際にブランコに乗りながら、HTC Viveをつけて、前に送風機をつけて実際に風を感じることができる。大砲の方は、実際に自分が大砲の中に入るのだが、その大砲がガコガコ動くのだ。

 

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このようにVR元年と言われた2016年であったが、2017年はVRコンテンツに置ける操作性、姿勢が重要になってくると私は思う。

 

そんな感じの面がKITCHENには集約されているのでぜひ機会があれば体験していただきたい。(ホラーだからその辺はご注意)

 

 

せっかくあるんだから、VR添い寝ドラマとかいいなー、送風機で吐息を実装して。

気持ちわるって思ったけど、誰かすでにやってそう。

 

 

Tonaliでした。